たったいま入手したスキルも役立ちそうなものが目に付く。
『回復』『再生』『強靭』『怪力』『硬化』……、アンデッド・オーガから剥奪したのとは異なるスキル。
 戦闘後の錬金術が楽しみになる。

 それじゃ、残るオーガ四体のスキルを奪うことにしよう。

「広域の攻撃魔法を放つ!」

 冒険者たちに警告を発する。
 三度目ともなると慣れたもので、手際よく全員が身を隠した。

 慣れるのは俺も一緒である。
 反応の遅れたロッテと彼女を庇うユリアーナの二人を、再び多重構造の空気の壁で守りながら攻撃魔法を放った。

 オーガと冒険者たちの間に炎の壁が燃え上がり、爆風が土煙を巻き上げる。
 どちらも殺傷能力の低いこけ脅しの魔法。
 その陰で錬金工房にオーガを収納し、スキルと魔力を剥奪して吐きだす。

 手慣れた手順。
 先程と同じように冒険者たちの視界を奪っている間に四体のオーガに止めとなる攻撃魔法を撃ちこんだ。

 束の間の静寂。
 土煙が晴れて視界が戻るとオーガの死体が人々の目にさらされる。

 途端、空気を震わせるほどの歓声が上がった。
 防壁の内と外とで歓声が上がり、続いて俺を讃える声援がそこかしこから上がる。
 俺は腹の底から湧き上がる歓喜を抑えて、ユリアーナとロッテの二人と合流するため、バリケードの向こう側へと向かった。