オーガの咆哮も、人々の悲鳴も、戦いの喧騒も消えた。音が消えたと思った次の瞬間、防壁の向こう側から歓声が上がった。

「立て続けにオーガをヤッちまたぞ!」
「どこの誰だ?」
「スゲー攻撃魔法だったぞ!」
「あんな攻撃魔法、初めて見た!」

 驚きと称賛の声が飛び交う。
 まだ四体のオーガを残しているというのに、集まった住民たちが歓喜に湧き返る。
 触発されたように防衛ラインの冒険者たちまでもが歓声を上げた。

「勝てるぞ!」
「あと四体だ! ヤッちまえ!」
「おい、お前ら! 坊やに負けてる場合じゃねえぞ!」
「このままじゃ、見せ場を全部持ってかれちまう」

 いいねー、この感じ。
 やる気が漲ってくるじゃないか。

「ふはははは」

 だめだ、笑いが零れてしまう。

 もっとだ! もっと驚け! 驚愕しろ!
 もっとだ! もっと称賛しろ! 俺を湛えろ!

 口にはだせないな。
 人々が歓声を上げ、驚きの声が上がるのを待った。

 地面に転がったオーガ四体をそっちのけで冒険者や住民たちが沸き返り、俺のボルテージは天井知らずに上がる。
 冒険者たちが迎撃しないなら都合がいい、残るオーガ四体のスキルもこちらで頂くとしよう。