俺の中にある天秤の傾きが更に大きくなる。

「それと『女神様』はやめて。一緒に世界を巡るのよ。それなのに同行する男の子に『女神様』、なんて呼ばれたら周りの人が不審に思うでしょ」

 確かにその通りだ。同行する少女を『女神様』なんて呼んでいたら、いろんな意味で不審に思われそうだ。

「OK。これからはユリアーナと呼ばせてもらうよ」
「よろしくね、たっくん」

 他の協力者と上手くやれるか不安に思いながら聞く。

「それで、他の助手は?」
「それがさー、最後の力を使って召喚したから、追加で誰かを召喚するって無理なのよねー」
「ちょっと待て。最後の力だって? それじゃ二人きりで世界を救うつもりなのか?」
「そうなるわね」

 俺の中で何かが弾けた。

「無理だ! 絶対に無理だ! 俺を元の世界に帰せ! いますぐ帰せ!」
「いますぐ戻すなんて、それこそ無理よ」
「俺の輝かしくなるはずの高校生活を返せ! 未来の彼女とリア充生活を返せ!」
「空想の産物でしょ?」

 いま、鼻で笑ったな。
 なおも俺が抗議をしようとすると、突然その手に炎を出現させる。

「魔法、使いたくない?」

 使いたくないと言えば嘘になる。
 だが……。