「突っ込むぞ、あの小僧!」
「自殺行為だ!」

 爆発音と爆風に耐えた者たちの声を背に炎の壁を抜けると、爆風に耐えかねて転がったアンデッド・オーガが立ち上がろうとしていた。

「腐ってる割には元気そうじゃねえか」
「グガァー!」

 咆哮を上げて立ち上がったアンデッド・オーガと目が合った。

「お前の目に俺はどう映っている? 敵か? 獲物か? 或いは天敵か?」

 己のセリフにボルテージが上がる。
 再び咆哮を上げようとした瞬間、俺はアンデッド・オーガを収納した。

 ――解析。

 瞬時にアンデッド・オーガの所有する魔力量やスキルの情報が流れ込んでくる。神聖石がどこにあるのかも即座に判明した。

 先ずは神聖石だ。
 続いて、『再生』『毒耐性』『麻痺耐性』『石化耐性』『睡眠耐性』『魅了耐性』『暗視』……、と幾つもの初見のスキルを剥奪し、最後に魔力を剥奪した。

「素材として十分に優秀だったぜ」

 錬金工房から吐きだしたアンデッド・オーガへ向けて、通常よりも多くの魔力を注ぎ込んで熱量を上げた火球を撃ちだす。
 その腐りきった身体が燃え上がった。炎のなかで苦しそうにのたうち回りながら、悲鳴のような寂しげな咆哮を上げる。

 背後の炎の壁が収まった頃にはアンデッド・オーガは焼死体に変わり果てていた。