「アンデッド・オーガを先に叩く」
「願ってもない選択よ」

 俺も同じ選択をしておいて何だが……、神聖石が最優先のユリアーナらしい、清々しいくらいに冒険者たちの損害を鑑みない答えだ。

「錬金工房の能力を悟られないような戦い方をするつもりだが、それでも目撃者からできるだけ離れた場所で戦いたい」
「冒険者たちにはオーガの対応に追われもらいましょう」

 言葉を選べよ、女神様。

「ユリアーナは光魔法で怪我を負った冒険者たちの回復を頼む」
「任せて。そう簡単に防衛ラインを崩壊させたりしないわ」
「ロッテはユリアーナの護衛だ」
「はい!」
「アンデッド・オーガは俺が派手に倒す」
「派手に?」

 ユリアーナの顔に不安の表情が浮かんだ。

「派手に倒せば俺たちの強さが証明できる。不正騎士や悪代官でも強いヤツにそうそう無茶な要求をしてこないんじゃないのか?」
「やってみる価値はあるわね」

 納得するユリアーナの傍らで、ロッテが頬を染めて瞳を潤ませる。

「シュラさん、あたしのために……」

 ロッテのためというのもあるが……、頬を染めて身体をくねらせるのはやめようか。

「何も心配するな。すべて俺に任せておけ」
「はい」

 今度は自分の両肩を抱きかかえたまま身体をよじりだした。

「お前ら、そこで何をしている!」

 騎士の声が響いた。