「世界の危機を救う?」

 俺が考え込んでいると、「そんな深刻な顔をしないで」とユリアーナが先を続ける。

「世界が消滅するようなことないけど、パワーバランスが崩れて各地で人の手にあまる事件がこれから発生するの」
「これから発生する? 女神様だから先のことが分かるのか?」

 先回りして解決するのだろうか?
 彼女は俺の質問を『まあ、そんなところね』、と軽く流して先を続ける。

「召喚者であるたっくんには特別なスキルが備わっているはずよ」

 強大な魔力に特別なスキル、か。なんて魅惑的な響きだ。自然と口元が綻ぶ。そんな俺の様子を見たユリアーナが文字通り女神のような笑みを浮かべた。 

「少しはやる気になったようね、嬉しいわ」
「頼まれたら断れない性格なんだよ」
「理由はどうあれ、やる気のある助手は大歓迎よ」
 
 こんな美少女と一緒に魔物を撃破して悪を懲らしめる旅をするのか。
 いいねー。女神様を背に庇って悪を懲らしめる自分の姿に胸が躍る。