「それで助手ってのは? 俺は何をしたらいい?」
「実はこの世界はいま未曽有の危機に直面しているの」

 彼女が言うには、神聖石(しんせいせき)と呼ばれる神の力を秘めた石が、天界の事故によりこの異世界の各地に散らばってしまったそうだ。
 散らばった神聖石は百余。その一つ一つに世界のパワーバランスを崩すほど力が秘められている。
 この世界のパワーバランスを崩さないためにも早期に回収する必要があった。
 
「人や魔物の手にあまる力よ。可能なら人や魔物が手にする前に、最悪でも崩れたパワーバランスを修復しながら、世界に散らばった神聖石を回収するのが目的よ」

 その目的を果たすために女神である彼女が降臨し、助手として俺を地球から召喚したということだ。
 想像した以上に危険な状況じゃないのか、これ……。
 孤独ではあっても、平和で怠惰な地球での日常が、とても大切なもののように思えてきた。