門からそれ程離れていないところにある騎士団の詰所で待たされること三時間余。俺たち三人は六畳ほどの一室に閉じ込められ、部屋から出ることを禁じられていた。

「街に入る前に昼食を済ませて正解だったな」

 天井を仰いでどうでも言ことをつぶやくと、ようやく扉が開き中年の騎士と若い騎士が入ってきた。

「仲間はどこだ?」

 中年の騎士は部屋に入るなりそう切り出した。

「盗賊団は引き渡した三十一人で全員です。少なくともヤツラのアジトに他の仲間はいませんでした」

「頭の悪ヤツだな」

 苛ついた様子で舌打ちをすると語調を強めた。

「私が聞いているのは、お前たちの仲間がどこにいるか、だ」
「俺たちに仲間なんていませんよ」
「三十一人からの盗賊団をお前らのようなガキが、たった二人でどうにかできるわけがないだろ!」

 口調や態度に腹は立つが、疑いたくなる気持ちは分からないでもない。幸い催眠の腕輪もあることだし、魔法で眠らせたことにするか……、などと思案しているとさらに高圧的になった。

「正直に話した方が身のためだぞ」
「仲間はいないわよ」

 ユリアーナの否定の言葉に続いて、それらしい言い訳を並べる。

「野営をしていたところに、七人の盗賊が近付いてきました。脅し文句と風体から盗賊だと判断し、手元にあった睡眠の魔道具を使って運良く眠らせることができました」

 若い騎士が書類を読みながらうなずく。
 盗賊の証言と俺の言葉との差異を確認しているのか?
 これは下手な嘘は吐かない方がよさそうだな。
 俺は気付かない振りをして話を続ける。

「そのときに捕らえた盗賊の一人からアジトの場所を聞き出して恐る恐る偵察に行くと、見張りは少数でアジトからは宴会のような騒ぎが聞こえてきました。盗賊たちは行商人を襲った直後らしく、見張りを以外の全員が酒盛りをしていました。盗賊たちが油断していたのでここでも睡眠の魔道具で彼らを眠らせることができました」

 全てが幸運と睡眠の魔道具のお陰とした。