「この指輪が常識から外れているってことは俺だって想像がつく。だから、指輪とは別にこんな魔道具も作ってみたんだ」

 銀製の幅広のブレスレットをリーゼロッテに渡して意見を求めた。

「え? あたしですか?」
「この地域でどう思われるか、意見を聞かせて欲しい」

 手にしたブレスレットの説明を始める。
 幅広のブレスレットには横に四つ、縦に三つ、合計十二個すべてが異なる形状のシンボルを刻んである。それぞれのシンボルに触れて魔力を流すことで、四つの属性魔法から三つずつの魔法、合計十二個の攻撃や防御の魔法が使える魔道具だと告げた。

 盗品の中にも水と火がだせる魔道具があったのだから、それほど非常識な魔道具ではないはずだ。

「えーと……、これに近い魔道具の噂を聞いたことがあります」
「噂?」
「騎士団の団長が先王から頂戴した宝剣で、火球と水刃と岩弾が使えるそうです」

 そう言うと幼い子がイヤイヤをするように首を横に振りながら、ブレスレットの魔道具を無言で俺に差し戻す。

 宝剣だと?
 この程度でもヤバい品物らしい。

「助かるよ、俺もユリアーナも魔道具に疎くってさ」
「本当、助かるわー」
「これからもこの調子で教えてくれると嬉しいな」
「こんなのがまだあるんですか?」

 俺とユリアーナとは違った種類の乾いた笑いが彼女の口から漏れた。
 さて、次は武器と防具に移ろうと思ったんだが……。

「この際だから、失敗はこの場で全て済ませてしまおう思うがどうだろう?」
「賛成よ」

 決まりだ。
 俺は素材の許す範囲であれこれと作成することにした。