「何れ帰れるならそれでいい。そんなに未練がある訳じゃないからな」
「うわー、寂しい人生を送ってたのね」

 彼女の憐れむような眼差しと蘇った中学生時代の記憶が俺の胸を抉る。

「俺の過去よりもこの世界でのこれからの方が大切だろ!」
「前向きじゃないの。理由は聞かないで上げるわね」

 一言多いな、この女神様。それよりも気になる魔法だ。

「魔法がある世界と言っていたが、俺も魔法を使えるのか?」
「使えるわ。たっくんからは強大な魔力を感じるもの」

 魔法が存在する世界でも俺自身が使えなければ意味がない。だが、それは杞憂のようだ。
 文明レベルが地球の中世ヨーロッパ程度というのも魅力に拍車を掛ける。
 俺は心の中でガッツポーズをした。