作成した魔道具効果を確認するためアジトの外へと来ていた。

「それじゃ、闇属性の指輪から試しましょうか」

 ユリアーナは闇属性の魔石を組み込んだ二つの指輪、『睡眠の指輪』と『麻痺の指輪』を装着すると虚空を見つめたまま動きを止めた。

「どうした?」
「成功よ」

 口元に笑みを浮かべて二つの指輪を外す彼女に聞く。

「今、何かしたのか?」
「魔法を発動させたの」

 何もない空間に向けて発動させたので見た目には変化が生じないが、魔力感知ができる彼女は魔法が発動したことを確認できた。

「盗賊が装備していたブレスレットと同様の機能ね」
「そのブレスレットを参考にして作成したんだから当然だろ」
「たっくんが作ったから、永遠に眠り続けたり、死ぬまで麻痺したままだったりと、実用性を無視した方向で高性能なんじゃないかと心配したのよ」

 ユリアーナが『杞憂だったようね』とほほ笑む。
 心配なのは理解できるが、もう少しオブラートに包んだ発言ができないものだろうか。
 釈然とせずにいると、彼女は次の指輪へと手を伸ばした。

「これは『火の指輪』ね」

 これも盗賊が所持していた指輪を参考に作成した。
 この周辺の国々では中層階級の住民たちの間で、標準的に利用されている魔道具だと盗賊たちから説明を受けた。