いや、些末なことは後回しにしよう。

「ここはどんな世界なんだ?」
「ここは科学の代わりに魔法が発達した世界で、最も進んだ文明レベルでも地球の中世ヨーロッパ程度と考えてもらっていいわ」

 女神様の説明が始まった。
 国家形態は君主制がほとんどを占め、王国や帝国が点在し身分制度が存在する。教育レベルも国家により多少の差はあるが、こちらも中世ヨーロッパ程度と考えて問題ないようだ。
 地球との最も大きな違いは住民と魔物の存在。
 この世界には人間の他にエルフやドワーフ、幾種類もの獣人が存在し、多少の確執はあるが共存している。
 そして、彼らの共通の敵として魔物が存在した。

「あとは各地にダンジョンがあるわよ」

 魔法のあるファンタジー世界確定だ! 何とも魅力的な世界じゃないか。
 彼女の話を聞いているときから胸が高鳴っていたが、拭いきれない不安もあった。

「元の世界に帰ることはできるのか?」
「いますぐは無理よ。でも、あたしが力を取り戻せば元の世界に帰ることは可能よ」

 つまりは、彼女に協力するしか選択肢はないということか。