盗賊が貯め込んでいた盗品を収納した後、俺たちは盗賊のアジトで一夜を明かした。
 ベッドの上で気持ちよさそうに伸びをするユリアーナが、顔を輝かせて提案する。

「ねえ、たっくん。野営用に小屋を造りましょうよ」

 それはもはや野営ではない気がするが、雨風をしのげる空間が欲しいのは俺も同じだ。
 幸い周囲は森と岩場のため、建材は十分にある。金属類も鋼の武器を中心に盗賊たちの為込んでいた武器類が、洞窟の奥にあったので材料に困ることはなさそうだ。

「食事をするスペースと寝室、キッチンとトイレ、風呂があればいいか?」
「お風呂、いいわねー。出来れば温泉が欲しいところだけどー」
「さすがにそれは無理だろ」
「どこかで温泉を見つけたら大量の源泉を収納しましょう」

 収納容量がどれくらいあるか知らないが、俺とユリアーナなら問題なく実現できそうでヤバい。
 寝室は当然別々になるから、2LDKでトイレ付、風呂は大きめってところか。練習がてら造ってみるとしよう。

「分かった。取り敢えず作ってみるからそれを見てから意見をくれ」
「馬小屋にいる馬も全部持ってくわよ」

 洞窟の外に馬小屋があり、そこに三十頭以上の馬が繋がれていた。
 公用語スキルを付与した二頭の馬も昨夜はその馬小屋で一晩を過ごしている。約束通り飼葉を大量に用意したので心行くまで食べているはずだ。