ナイフを投げた女を収納する。

「奥から二人、直ぐに姿を現すわ」
「OK」

 男たちが姿を現した直後に収納した。

「助けてくれ。金も武器も全部差しだす。命だけは助けてくれ」

 盗賊の一人が涙を流してその場に平伏すると、他の五人も同じように平伏して抵抗の意思がないことを示した。

「あなたたち、隊商か行商人を襲ったでしょ? 生き残りはいるの?」

 ユリアーナの質問に残りの女たちが悲鳴で答えて奥へ向かって走りだした。

 悲鳴を上げる女だからと言って容赦はしない。通路に差しかかったところで、まとめて三人の姿と悲鳴が消える。

「もう一度聞くわ。生き残りはいるの?」
「行商人の仲間なのか?」
「荷物は返す、助けてくれ」

 涙を流して懇願する男たちにユリアーナが三度問う。

「生き残りはいるの?」

 三人の肩がビクンッと跳ねた。

「……いねえ」
「殺すつもりはなかったんだ。本当だ」

 泣き叫ぶ二人と鬼の形相でユリアーナへと向かってきた男を同時に収納する。
 部屋のなかに静寂が訪れた。

「これで全員か?」
「少なくとも魔力感知には何も引っかからないわ」
「盗賊たちが貯め込んだ盗品を頂くとしよう」

 俺たちはアジトの奥へと歩を進めた。