部屋の隅で酔いつぶれている男たちを収納する。

「先ずは五人」
「気付かないものね」

 彼女の言葉を聞き流して次のターゲットに狙いを定める。たったいま収納した男を探して、辺りをキョロキョロと見回している女だ。
 そんな女に一人の男が近付く。かなり酔っているようで足元が覚束ない様子だ。

「男を捜しているのか? 俺が相手してやるよ」
「何であんたなんかと! お呼びじゃないんだよ!」

 半ば足をもつれさせて倒れ込んできた男を女が軽く突き飛ばす。
 その瞬間を待って女を収納する。

「あれ?」

 倒れ込んだ男はあたりを見回すと、隣で抱き合っている男女に聞く。

「なあ、ドロシーを知らねえか?」
「知らねぇよ! アランと奥にでもしけ込んだんじゃねえのか?」
「何言ってやがんだ。たったいまここに居ただろ」

 酔った男が立ち上がろうとしたタイミングで抱き合っていた男女を収納する。
 これで八人目。部屋にはあと十二人。

「消えた! 消えちまった!」
「何を寝ぼけてんだ?」
「そうとう酔っぱらってんな、こいつ」

 周りの男たちがからかいだした。

「酔ってないって。いや、酔っているけど、そこまで酔っちゃいねえよ!」

 抗弁するが取り合う者はいない。

「うるせえぞ!」
「少し外で頭を冷やしてきたらどうだい?」
「外の見張りと交代してこい!」
「人数が減ってる! 周りを見ろよ、何かおかしいって!」

 異変に気付いたのがお前で良かった。