「何か見えるのか?」
「目視も魔力感知もこれ以上は無理ね」
「近付くしかないか」

 岩場が見えてくると盗賊たちがアジトとして使っている洞窟の入り口がすぐに分かった。

「あれがそうだ」

 かがり火に照らしだされた洞窟の入り口と二人の見張りを岩の陰から覗き込みながらささやいた。

「洞窟の中に二十二人。外に三人……」
「見張りは二人だけだぞ」

 身体強化で視力を強化して周囲を改めて見直すが、洞窟の前に立っている二人以外は見当たらない。

「もう一人はあの辺りね」

 そう言って彼女が指さしたのは、入り口の側に放置された三台の馬車だった。
 大きく切り裂かれた幌は黒ずんだ染みが広がり、その切れ間からは水が入っていると思しき樽や服などの日常生活を連想させる品が幾つも見える。
 瞬時に嫌悪感が湧き上がる。

「隊商か行商人を襲ったばかりのようね」
「問題ない。見張りの二人だけでなく、もう一人も馬車ごと収納できる」
「それじゃ、お願いね。見張りの二人と馬車を収納したら洞窟に侵入するわよ」

 彼女の言葉が終わると同時に対象を収納した。

「相変わらず鮮やかなものね」

 ユリアーナは一言そう口にすると洞窟の入り口へと向かって歩きだした。
 俺も彼女の隣に並んで歩き、盗賊から奪った剣を素材にして作り直した日本刀を抜き放つ。
 黒い刀身にかがり火が鈍く反射する。

「やっぱり日本人は日本刀だよな」
「武器は必要ないでしょ?」
「念のためだ」

 見た目が格好いいから、とは口にできない。