盗賊はアジトの場所と戦力をあっさりと白状した。

「所詮、盗賊。命を対価に脅せば、義理も根性も罪の意識すらないから簡単に口を割るわよ」

 彼女の言葉通りだった。自分の命惜しさにベラベラとしゃべる。
 こちらが聞いてもいない情報まで教えてくれた。

「さあ、盗賊のアジトに乗り込むわよ!」

 盗賊のアジトを急襲しようとかけ声をかけたのが十分程前のこと。
 俺とユリアーナの口から洩れたのは諦めの言葉だった。

「そろそろやめないか? これ以上時間を無駄にするわけにはいかない」
「そうね、ちょっとハードルが高かったかもね」

 荒ぶる二頭の馬を錬金工房に収納した。
 聞きだした連中のアジトに馬で駆け付けようとしたのだが……、それが大きな間違いだった。一度も乗馬なんてしたことがないのに何故乗れると思ったのだろう。
 他人のせいにするつもりはないが、ユリアーナの軽いノリに惑わされた気がしてならない。
『乗ったことはないけど、見たことはあるんだし、何とかなるでしょ』とはユリアーナ。
 結局、なんともならなかった。

「歩くしかなさそうね」

 盗賊たちのアジトはここから五キロメートル程先にある洞窟。