「ゴブリンが持っていたスキルを錬金工房のスキルで剥ぎ取ることができた」
「え……?」
「剥ぎ取ったスキルは素材として保管できる」
「なに言ってんの? そんなことできる訳ないでしょ……」

 生きた魔物からスキルを奪って他のアイテムや生物に付与しなおす。
 薄々予想していたが、普通ではないらしい。

「他のゴブリンに付与しなおすこともできた」
「もしそれが本当だとしたら、とんでもない能力ね。怪物を作りだすことが出来てしまうわ」

 ユリアーナの表情が強ばる。
 彼女が何を心配しているのか直感的に分かった。力を求めて力におぼれる、心の弱い者の未来。

「怪物を作ることは出来るかもしれないけど、俺自身が怪物になることは出来ないんだ。付与できるのは錬金工房の中だけで、俺自身は錬金工房の中に入れないからな」

『残念』と少しおどけて微笑む。

「本当残念ね。最強の助手を手に入れ損ねたわ」

 彼女が胸を撫で下ろした。