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  第一部隊から解放され、宿へ戻るとすぐに第二部隊の騎士から接触があった。 俺は騎士に呼び出されるまま、近くの酒場へと入る。

「こんな格好ですまないね」

 第二部隊の騎士を名乗った男は街中で見かけるゴロツキのような恰好をしていた。少なくともまっとうな仕事についている人間には見えない。
 オーガ討伐の際に見かけていなかったら、紀章を見せられても信用しなかっただろうな。

「いいえ、騎士だと知られると不都合なこともあるでしょう」
「それで、押収品の保管場所は分かりましたか?」

 注文したビールが運ばれるや否や騎士が小声で訊いてきた。

「騎士団の詰所奥にある倉庫です」
「まさか!」

 驚く騎士に向けてさらに言う。

「信じられない気持ちも分かります。まさか騎士団の施設を、それも詰所の中にある倉庫を犯罪に利用しているとは思いませんでした」
「ご領主や代官に知られたら大ごとだ……」

 騎士の独り言を聞こえなかった振りをして、俺は接触してきた騎士に盗品を隠した倉庫と、倉庫の床下が隠し場所になっていることなど詳細を伝えた。
 一通りの情報提供を終えると、騎士が静かにささやく。

「今夜踏み込むので君には案内を頼みたい」

 パウル隊長の逮捕劇を特等席で見るのを半ば諦めていただけにこの申し出は願ったりかなったりだ。
 二つ返事で飛び付きたいところだが、ここは出来るだけ高く恩を売っておこう。

「どうしても、という事であればご協力はさせていただきます。しかし、私が案内したのがバレたら、そちらが不利益を被りませんか?」
「むしろ証人としての君が必要なんだ」
「証人ですか……。証言をするために『保護』という名目で、身柄を拘束されるようなことはないでしょうね?」
「証言までこの街を離れないでもらいたい」
「私たちは行商人なので移動できないと商売ができません」
「代官の裁きがある当日以外は自由にできるはずだ。第二部隊としても、ある程度の便宜は図れると思う」

『はずだ』と『思う』、か。
 何ともグレーな答えだ。というか、明言を避けるあたり絶対に不利益を被るよな。