「随分な落ち込み様だな」

 釈然としない気持ちを抑えきれず、それが口調に現れてしまった。だが、ユリアーナはそんな俺の口調など気付かずに頭を抱える。

「ここは危険な世界だから、攻撃系のスキルが欲しかったわー」
「その危険な世界を生産系のスキルしかない俺と、俺以上に能無しの女神様とでどうやって生きていくんだ」
「目的が変わってる! 神聖石を集めるの! 世界を救うのよ! それにあたしは役立たずじゃないわよ。女神の力を失ったとは言っても、治癒系の光魔法と地、水、火、風の四属性の魔法を全部使えるんだからね」

 誇らしげに胸を張りユリアーナが『それだけじゃないのよ』、とさらに続ける。

「魔力感知と異空間収納に簡単な飛行能力もあるのよ」

 戦闘はユリアーナに任せて俺は生産に精をだすか。戦う女神様の傍らで生産に従事してスローライフ。
 それも悪くないかもなー。

「俺は日用品でも作ることにするから、戦闘は任せるよ」
「安心しなさい。たっくんも前衛で十分に戦えるから。属性魔法の才能がなくても魔道具の助けを借りて強力な魔法を使えるわ。つまり、錬金術で魔道具を自作して戦えばいいのよ」
「錬金術じゃなくって錬金工房な」

 スキルの正式な名称を告げた。

「それよ。あたしも長いこと女神をやっているけど、錬金工房なんて初めて聞くスキルよ」
「俺だけの固有スキルか」

 未知のスキルであることに若干の優越感を覚えた瞬間、ユリアーナが冷水を浴びせる。