「私の名はユリアーナ。この世界の創造神にして、あなたの信仰する女神です」

「それを私に信じろとおっしゃるのですか?」

 神官だから神の声を聞くことができたと歓喜すると思ったが……、意外と疑り深いな。

「あなたが手に入れた石。それは神聖石と言って創造神である私の力の一部を封じ込めた神界の石です」

「何のことをおっしゃっているのか分かりません」
「神聖石を返してもらいに来ました」
「ですから、何のことを――」

 尚もとぼける助祭の言葉を遮ってユリアーナが言う

「あなたと会話することなく神聖石を取り上げることもできるのですよ」
「お待ちください」

 助祭が初めて狼狽の色を見せた。

「神聖石を返してくれますね」
「この石。……神聖石というのですか。この神聖石を今しばらくお貸し頂くわけにはいきませんでしょうか?」
「理由を聞きましょう」
「神聖石の力をお借りすることで大勢の怪我人や、病に苦しむ人々を救うことができました。私は……、さらに大勢の人々を救いたいと願っております。ユリアーナ様を信仰する者たちのために何卒お力をお貸しください」
「本当に人々を救いたいという気持ちだけですか?」
「もちろんです」

 即答だ。迷いのない力強い答えが返ってきた。
 ユリアーナが満足げに微笑む。