「いまのところ、よ。そのうち凄い力が復活するんだから」
「つまり、戦えるのは俺だけってことか。それで俺はどんな力を持っているんだ?」

 俺は期待に胸を膨らませて聞いた。潜在的な凄い力はなくても、召喚者特典でチート能力を貰えるだけでも良しとしよう。

「こっちが知りたいわ」
「は?」

 今の一言はなんだ?
 放心しかけた俺に気付かないのか、彼女が説明を続けた。

「世界を渡るときに何かしらの特別な能力を一つ手に入れたはずよ」

 召喚された人間や動物、魔物が異世界へと転移する際に何らかの特別なスキルを手に入れるそうだ。
 もちろん、例外はある。過去の例だが、何のスキルも手に入れられない不幸な召喚者もいたそうだ。
 説明するユリアーナも『例外』の部分に触れるときは顔色が悪くなっていた。

「どんな能力なのかは本人にしか分からないのよ」
「特別なスキルか。どうやって調べればいい?」
「自分の中に力を感じるはずなんだけど? 取り敢えず目を閉じて意識を集中してみて」

 俺は言われる通りに目を閉じて心を落ち着ける。すると、直ぐに身体の奥底で今まで感じたことのない何かが感じられた。

「これか!」
「あったのね、スキル! どんなスキル?」

 期待に目を輝かせる彼女に俺は頭に浮かんだ単語をそのまま告げる。

「錬金工房だって」
「生産系かー」

 途端、今度は頭を抱えてしゃがみ込んだ。