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なんとか準備を終えて学園祭の日を迎えることができた。
2日間あって、最終日には後夜祭がある。
晴臣先輩はどっちの日程も来るらしい。佐伯さんが一緒にまわるってうれしそうに話していた。
1日目は午後を自由時間にして舞菜と野須くん、それから高藪くんとまわっている。
「迷路大繁盛でよかったね!特にクライミング!」
「なー!全員準備張り切ってたもんなあ」
「景品まだ大丈夫かな?」
「リタイア続出みたいだから大丈夫じゃないかな」
こんなのん気な会話してるけど、高藪くんは結香子とまわらなくてよかったのかな。
そんなお節介を考えながらたこ焼きを頬張っていると、「いた!」と明るい声が聞こえた。
振り向くと頭の中でうわさしていた人物。
「陽花里!ねえ一緒に演奏しに行こ!」
「えっ?」
「おみ先輩も見てる!だから行こ!私がヴァイオリンで陽花里がピアノ。一緒に弾こうって前に約束したでしょう?」
わたしのことを探して駆け回っていたのか息が切れている。
腕を掴まれる。目の前が白黒した。
「結香子、わたし…晴臣先輩のことはもう…」
「諦めちゃうの?このまま?よく知らないけど、今のままじゃ後悔しない?勝手だけど、私、後悔する恋愛はきらいなの。あと陽花里の笑ってる顔が見たいの」
必死な目。