何回振られるんだろう。
何回振られたら諦められるんだろう。
もはやそう言われるって解っててそれでも伝えてしまう。
「彼女の前でふつうあんなこと言う?ありえないよね。自分勝手すぎー」
「おみ先輩困ってたし。もうあのヤマ先輩って人と付き合っちゃえばいいのに。邪魔」
そんなふうにうわさされるようになった。
前からだったけど、佐伯さんからよけいに睨まれるようになった。
陰口なんて今までなんともなかったのに。
「高藪くん。わたしが言っても誰も話しを聞いてくれない。お願い、言ってきて」
さすがに学園祭の準備にも影響が出てきて、わたしは完全に足手まといだ。
高藪くんもため息をつく。
「まわりはちゃんと見ろよ。あの先輩が見てくれないなら、自分で自分を守れ」
「…晴臣先輩を守れたらそれでいいって思っちゃうの。高藪くんまでそんなこと言わないで」
「自分も満足に保てないやつが、あんなふつうじゃ手に負えないような人のこと守れるの?」
真っ直ぐな目。
わたしが見えないわたしを、見透かすみたい。
高藪くんみたいに真っ当だったら、晴臣先輩も頼ってくれたのかな。
「恋だけに左右されるなよ、槙野。それが全てじゃないだろ?」
ううん、今のわたしは、おかしいくらい愚かで、それが総てなんだ。