派手な身なり。挑発的な口調。金色の長い髪から覗く鋭い目。可愛いなんて褒め言葉、こんな表情で言う人いない。わたしはただのおもちゃ。

前にちんちくりんって言ってたくせに…。


「オレと付き合わない?」

「は……」

「ふ、くくっ…きみと付き合ったら、おみ、どんな反応するかなあ。絶対嫌がるよ。きみがあいつの本命だもん。嫌がるところ見たいんだけど。超見たい。やっぱり本気で付き合おーよ」


意味がわからない。突き飛ばすように離れると、嫌がるわたしを見て愉しむように笑みを浮かべる。

近づいてくるから後ずさりすると嘲笑いをされた。


何、この人。


「あの…ヤ、ヤマ先輩…」

「へー。オレの名前知ってるんだ」

「晴臣先輩は、わたしがどうなっても興味ないと思います。…だから」

「じゃあ弱味教えてよって。それか身代わりになるか、どっちにする?」


わたしたちの関係を完全に勘違いしている。


「弱味なんて知ってどうするんですか?」

「さあ」

「晴臣先輩とお友達じゃないんですか…?」


わたしの好きな人は、理解しようにもできないみたいだ。


「友達?…ははっ」


乾いた笑い。友達って言葉を知らないような素振り。知らない世界。

人の弱味を知りたいなんて思ったことないよ。

彼は一体、どんなふうに人と関わってきたんだろう。この人はどうしてこんなことを言うんだろう。