コラム部に入部するのはさすがに思い留まったけど、晴臣先輩の部活の様子は少しわかった。

本や新聞、漫画などを読んで、それをコラムにして廊下に張り出す。

彼は部室に来ることはあまりないみたいだけど、ちゃんと部活には参加していて、いくつか書いたものを見ることができた。


丁寧な文。習字の手本のような文字。絵本や児童書のコラムが多かった。わかりやすくまとまっていて、とても、まじめだった。


たぶん、まじめな人だと思う。

ただ不器用で、感情が豊かで、敵が多くなるんだろう。彼からすればきっと、敵だと思っている人は少ない。

自分のこと、嫌いでいる。

それはどうして。


憶測だけ。
もっとちゃんと知りたい。

でも、知るのがこわい。

わたしが晴臣先輩にできることは何もないって、思い知らされる羽目になる気がして。



「おみのこと好きなコいるー?」



学園祭準備が佳境に入った頃、晴臣先輩とよく一緒にいる人たちがゾロゾロと教室に入ってきた。

一瞬手を止めたけど佐伯さんが手を挙げて返事をしていたのでやめた。べつにこんなみんながいる場所で本人以外に素直になることない。


「いやあんたじゃなくてあいつの本命の方」

「え、本命って、うち、付き合ってるんですけど」

「うんうん。でもあいつそういうやつだからさ。…ってわけで、なんだっけ名前。ねえ」