好きだなんて男の子に言われたの、初めてだ。


高藪くんは特に何てことないような顔してるけど、わたしは慣れてないよ。きっときみと付き合う女の子は大変だろうね。毎日毎回こんな気持ちになるんだろうから。


晴臣先輩のことを笑わないで、おかしいことだと思わないで、否定しないでくれる高藪くんのことはわたしも好きだと思っている。

優しい人。意外とよく笑ってくれて、しっかりしているし安心する。だけどそういうの、素直に言うのはなんか気恥ずかしい。



「そういえばあの先輩、高校受験はするみたいだね。知ってた?」

「受験することは前に一度聞いたことあったけど、そっかあ…どこの高校なのかなあ…」


どうがんばっても1年しか被らないけど、行けるなら同じ学校にもう一度通いたいな。

もう冬が来る。

卒業式なんてきっとあっという間。

連絡先も知らないし、教えてくれそうにない。だから学校しか会う方法はないのにすぐにその機会は時間に奪われてしまう。


「職員室で真波先生が他の先生と話してるところを聞いただけだから詳しくはわからないけど、文系の学校みたいだったよ」


コラム部って文章を書く部活みたいだし、好きなのかもしれない。


「わたし理系だ…」

「ははっ、がんばれ」


のんきな笑顔。気が抜けちゃうよ。