「目がくりくりしてて、きらきらしていて可愛いです」
「可愛いかあ?わがまますぎてサンタさんが来なくて泣きじゃくるようなやつだぞ」
可愛いという言葉に眉をひそめている。サンタさんって。何それ、本当に可愛いよ。
「プレゼントは何がよかったんですかねえ」
「あー、たぶんバイクのプラモデルかな。好きだったんだよ」
「そうなんですか。じゃあ、ちゃんと免許とれたらバイクに乗せてください」
「おー。待ってな」
何気ない会話に含んだ、ゆびきりも確証も何もない気まぐれな約束が優しく響く。待ってな、なんて言われたら一生待ってしまいそう。
晴臣先輩の絵が最後の作品だった。
そろそろ行くか、と踵を返した彼がすぐに立ち止まる。顔を覗くと驚きと微かに嫌悪を感じることができた。
視線を追うと怒りを浮かべた若い女性がいた。
「晴臣くん…どうして?あの人にも此処には行くなって言われてるのよね?」
「…希雨さん、どうしてここに…」
「ねえ、やっぱり私じゃ駄目なの!?私、いつになればあなたのお母さんになれるの!?」
女の人の頰に涙が伝う。
寄ってくる影を支えながら彼はつぶやく。
「求めてないって言ってるじゃないですか。僕に母親は必要ありません。希雨さんはただ父の側にいるだけでいいんです」
「でも…お母さんにすらなれない私の気持ち…どうしてわかってくれないの!?」