変えたくないの。

叶わなくても、あきらめたくない。

意地を張っていたい。



「意地ねえ…。おれが成し遂げたいことを言ったら、たぶん槙野はもう味方になってくれないよ」


そういえば今日はいつになく弱気。


「というか、ならなくていいって思う」

「そんなことないっ…」

「いいんだよ。槙野らしくいてほしいから」


理由は教えてはくれないんだね。

知ってる人はいるの?ひとりで抱えて辛くないの?辛いことではないかもしれないけど、辛いことのような気がしてならない。


ねえ、晴臣先輩の家族は、どんな?

そう聞けないのはどうしてだろう。


たどり着いた駐輪場でヘルメットを渡された。顔が隠れるタイプのもの。

この人嫌だ。免許も取れない年のくせに飄々と、当たり前のように渡してきた。こわい。


「いや、バイクでふたりのりはちょっと…」

「ふうん。じゃあこっちにするか」


きょとんとした表情のまま今度は隣の自転車を指差す。荷台が付いているもの。


「え、どっちが晴臣先輩のなんですか」

「どちらかといえばこっち」


自転車のほうみたい。


「じゃあそちらはどちらかといえばどなたの…」

「センパイだけど」


あの、以前お見かけしたバイク集団の高校生の方々か。なんだかなあ。