放っておいてとか、べつにいいとか、勝手にするとか彼には言ったくせに情けないよね。
いざ冷たくされると思うと…淋しくて。
それがわたしの好きな晴臣先輩だと思うと、悔しくて。
おまけにクッキーが不味かったらって考えると、もう止まらなくて、足は帰路に急いでしまった。
「助けて。晴臣先輩にどうしても会いたい。…こんなことしかできなくて、でもこれを拒まれたら…ひとりじゃどんどん弱くなりそうだったから…舞菜しかいなくて…ごめん、昨日、ひどいことばっか言ったのに」
手をぎゅっと握られて、震えていたことに初めて気づいた。
「いいよもう。どうしようもなく本気なんだね…わかったよ。一緒にいてあげる!」
安心させてくれる笑顔。
友達はあまりいないけど、少ないなかで、舞菜と出会えたことは本当にかけがえのないものだと思ってるよ。
そのまま手を繋いで上級生の下駄箱の前に来た。となりに優しいひとがいてくれる安心感からか昼間が嘘のように不思議とスムーズに歩けたよ。
下駄箱はクラスに分かれていて、出席番号順。蓋はないからちらりと見れば上履きしかないか靴があるかすぐにわかるからよかった。
まだほとんどの人が残っている。
その中に体育祭の時に見たライトブルーのスニーカーもあった。