晴臣先輩とはぜんぜん会えないままなのに、うわさだけは浮き足でいろんな場所を巡っていた。
次会えたら…と話したいことや聞きたいことは頭にいくつもあるのに、何故かあの日みたいに会いに行くことができないでいる。
「最近部活行ってないんだって?元気もないし、辛気くさいよ。ぱあっと遊ぼー」
移動教室までぼうっと歩いてるところに話しかけてくる舞菜。
「うん。放課後も暇だよ」
「部活辞めちゃうの?」
「うーん…悩んでる」
真波先生と顔を合わせるのが気まずい。
それに、真波先生は晴臣先輩のこと、良いふうに感じてくれてると勝手にだけど思っていたから、あんなふうに言われたら悲しくて。
「バスケ下手じゃないんだし楽しくやってたんだからもったいないよ。もう少し考えてみなね」
優しいし、気遣い屋さんだなあ。わたしは最近、自分のことで精一杯だよ。情けないね。
「うん、ありがとう。どこ出かけようかね」
「いっぱいあるから選んで!都内の映えるパフェでしょー、タピりたいでしょー、プリ撮りたいしー、あ、映画もいいなあ」
「1日でできちゃうじゃん」
「他にもあるもん」
友達と他愛のない話をしてると楽だなあ。恋なんて、恋をしてることなんて、わすれちゃえたらいいのに。