わたしが晴臣先輩の“新しい彼女”なんじゃないかといううわさは瞬く間に広がった。地獄耳らしく、今までうわさなんて気にしたこともなかったし気がつきもしなかったのに自分のことになると過剰に反応してしまわないように必死だった。

彼の耳にも届いているのかな。

迷惑だってこれ以上嫌がられたくないんだけどなあ。困った。やっぱりあの行動は目立ってしまったみたい。



「久遠くんと付き合ってるの?」


真波先生まで知ってるなんて。

部活中に呼び出されたから何かと思った。


「残念ながら付き合ってません。…この気持ちも迷惑だって怒られました」

「あら、槙野さんが好きなのね!」

「はあ…。…仮に付き合っていたとしても、何かまずいですか?」


呼び出してまで雑談や恋バナをしたかったわけじゃないんだと思う。

問いかけに難しい顔を浮かべている。

なんだか無性に晴臣先輩に会いたい。


「久遠くんの評判は知ってる?私はあまりこういう考えは好きじゃないし、彼の良いところも知ってるつもりでいるんだけど…他の先生や生徒たちはそうじゃないの」


評判なんて、関係ない。


「評判や噂なんて関係ないって思うかもしれないけど…優秀なあなたを守れるのはあなただけなの」


何それ。