何この状況…!


「ひゃああ…汗くさいので下ろしてください!」

「ひゃあじゃないし、けが酷くなるから暴れんなって」


恥ずかしい!消えたい!

バスケ部のみんなと隣で練習していた空手部に見られながら、わたしはおんぶされた状態で保健室へ連れて行かれた。

おんぶなんて久しぶりにされた。背はあまり高くないのに、広いし硬い。男のひとってすごい。


椅子に座らせられる。

これ借りよ、とつぶやきながら置いてあったバスタオルサイズの白いタオルを肩にかけられた。重たい。


なぜか彼は肩を震わせて笑っている。


「顔…というか耳とか首まで真っ赤なんだけど」

「だって…こどもじゃないのにおんぶなんて…」


しかも晴臣先輩に。

なんだかそれだけで泣きそうになる。


バッシュの紐が解かれて脱がされる。絶対くさいよ。バッシュってふつうの靴よりくさくなるもん。あ…この人のつむじは左に寄っているんだ。



「くつ下脱いでこれで冷やして」


手際良いなあ。


「はい。…あの、どうして今日は学校にいるんですか?」


この夏休み、いつ探してもいなかったのに。


「一応中3でジュケンセイなんだよねーボクって」

「受験するんですか?」

「うん、まあチャレンジ精神でね」


不良って受験するんだなあ。


「…今失礼なこと思ったろー」


じっとりとした視線が向けられてぎくりとした。たしかに今思ったことは失礼だったかもしれない。