そしていつまでもずっと残像を追いかけていた。


「中学3年が一番楽しかった。槙野がいつもおれのこと探してるの、おれは見つけてた。真っ直ぐ想ってもらえてすごく…うれしかった」


夢みたいな言葉を、気持ちを、もらった。

手が少しでも届いたらもうその残像は消えるだけ。



「そういう思い出が、おれの全てだよ。これから先も大切にしていく。なれるかわかんないけど、まっとうになって…頑張るよ」


確かな別れの台詞だけど、あの頃の別れよりは、ずっといいね。


「…がんばってください」

「うん」

「がんばって……ずっとずっと味方でいます」

「うん。おれも」


わたしと晴臣先輩。

交わらなくて、遠くて、離れていて、繋がれなくて、かたちにしたらきっといびつ。

伝えたい。

あの頃のように、正直に。


「やっぱり、違います晴臣先輩。味方じゃなくて…わたしはたぶんもう、愛してるんです」

「愛……え?」


呆気にとられた表情を浮かべている。

これ何回目の告白なんだろう。もはや笑みがこぼれる。



「いつかもし晴臣先輩が、ひとりじゃ淋しくて耐えられなくてつらくて苦しくてまた死にたくなった時は、わたしを探しにきてください」



待ってるなんてとても言えない。

まっとうになろうと前を向こうとしてる。そんな彼は初めて見たから。

それを引き留められるほどの存在じゃない。



「二度と会うことのないように、応援してます」



それでもお互いの思い出が、お互いへの想いが、胸にある。

未来を言葉にすれば彼はいない。それが正解。だけど言葉にならないすべての中にきっといつまでもいるよ。