思い描く未来の話をしたら、それを捨てて一緒に死んでほしいと言われたこと。
一緒に海に入って、本気でそうしようとしたけど、泣いてしまって、晴臣先輩がやめようって言ってくれた。
ばかだなあって、あんなに優しく言う人を他に知らない。
明日一緒に帰ろうって思っていたのに、警察が来た。
晴臣先輩はとうとう叶えたんだって思ったのに、叶えられていなかった。泣いていた。苦しそうに、くやしそうに、悲しそうに。
どうやってそうなったらいいかわからないけど、味方でいたい。今でもそう思っている。
……もう一度、ちゃんと、正面から会いたい。
そう思っていること。上手く話せた自信はないけど、ぜんぶ言った。高薮くんは優しく涙をぬぐってくれた。
「会いにいけばいいよ。行っておいで」
「でも、いいの?」
「うん。もう仕方ないよ。もう遅い。俺は前からあの先輩を想ってる、盲目なくらい直向きで素直な槙野に惹かれてたんだから」
「待って、高藪くん、わたしは……」
晴臣先輩と一緒にいるのに、高薮くんの笑顔の夢を見たの。変化した感情もある。きみのことをちゃんと好きだった。ありがとうって何度も思ったし、今だってそう。
自分の気持ち、まわりの人の気持ち、たくさん気づけた。
「槙野はあの人のこと、もう好きとかじゃないんだ」
この人はわたし以上にわたしを見ていてくれた。
「うん……あいしてる」
どうにかなりたくて、なんて、最低なことを言った。
「はは、気づいた?」
「ごめ……ごめんなさい…っ」
酷いことをしてばかり。
それでも優しく、背中を押してくれる。