晴臣先輩との出会いは、中学1年生の体育祭。真っ白なTシャツを預けてきたのが彼だった。その人の存在を知ったのも、纏わるうわさを知ったのもその後すぐ。
こわくなって、真波先生を頼った。だけどすごく気になっていた。
そうしたらこっちの気持ちを見計らったみたいに会いに来て、ありがとうって言ってくれた。心臓がばくばくして、なんだか泣きそうになったのを覚えてる。
コンビニでばったり会ってパプリカの話をしたこと。
未成年なのに平気な顔して煙草を買う。
煙草ににおいがしたこと。
それなのにお日さまのにおいもすること。
ドリンクの瓶を投げられて、こわいのに、淋しくなったこと。
ピアノを子守唄みたいだと言ってくれたこと。
もっと話したい。知りたい。そんな気持ちで近づいては、掴まえる間もなく遠ざけられたこと。彼女ができてしまった時は本当に悲しかった。
それなのに「付き合って」と一緒に晴臣先輩のお母さんの絵を見に行った。そこで、育ててくれた人のことを知った。
そのうちお父さんへの、殺意を知った。自分はフツウじゃない。幸せは、父親を殺すことだけでしか手に入らない。それしか望んでいない。そう言っていたこと。
ひとりぼっちな彼の味方でいたいと、思った。
離れてもその気持ちは変わらなかった。
そして、この間、晴臣先輩が突然会いに来て、一晩、晴臣先輩の思い出の島で過ごしたこと。海鮮丼を食べて、離れていかないようにと手を掴んでしまって、そして、未来のことを聞かれた。