届かないまま終わることほど悲しくてむなしいことはない。
それにわたしって、高薮くんのこと、好きじゃないのかな。
結香子との関係が気になる。モテるところをよく見てきた。助けに来てくれた時、安心して気が抜けた。一緒に話す時間が楽しかった。癒されていた。
話を聞いてもらうと、いつもがんばろうって前向きになれた。
「晴臣先輩のことは、正直に言うと、わからないの。でも好きだと思う。嫌いになることはないし…なれない。好きって気持ちが薄れることも、ないんだと思う」
「…そう」
「だけど、高薮くんのこと、好きじゃなくないよ。説明できないけど、違うところで、違う種類で…えっと…好きではいると思うの」
「……俺ら、友達じゃないよ」
「わかってるよ。高薮くんのこと、友達だと思ったことは、そういえばない」
「え、それはそれでなんか悲しいな」
もしかするとずっとこの優しい人を悲しませていたのかもしれない。
自分のことしか見えてなかった。精一杯だった。
だけど、前を向きたい。
誰かを大切にしたい。
誰かに大切にされてみたい。
それが高藪くんだったら…うれしい。
「じゃあ槙野にとって俺って何?」
なんだろう。友達じゃない。
2年生のときにクラスが離れて、高藪くんがいない教室がおかしかった。