高薮くんの頬が心なしか赤く染まる。なにその、うぶな反応。言われ慣れてるはずなのに。


「高校でもモテるでしょ」

「でもって、モテたことないよ」


そして彼も何を言ってるんだろう。モテてたよ。同級生はもちろん、1年生の頃は上級生にも、2年3年の頃は下級生からも呼び出されては告白をされ、彼は断る。


「そんな謙遜…」

「好きな人にはモテない」


結香子のことだと思う。だけど、そうじゃない気もする。

彼は途中から結香子をそういう感情で見ていなかったように思うんだ。



「槙野は…まだあの先輩のこと好き?」


真っ直ぐな瞳。あの人のこと、そういえば高薮くんは名前で呼んだことない。


「なんで、そんなこと聞くの…?」


そんなのわからないよ。



「槙野のこと、好きなんだ」



深呼吸のあと伝えられた言葉を聞いて、クレープの味がしなくなった。



「中学の頃からあの先輩のこと強く想ってる槙野を見てきたから、この気持ちは伝えられないって思ってた。離れたら変わるんじゃないかって思ってた。それなら諦めようって思ってたんだけど…変わらなかったからもう諦めるのをやめようと思って。だから今日会いに来た」


「…っ、高薮くん」

「俺のことは好きじゃないことくらいわかってる。でも、このまま終わるのは嫌なんだ」


その気持ち、わかるよ。