深いため息を吐かれる。もしかして勘違いをさせてしまった?と思って慌てて首を振る。


「あの、わたしは別に晴臣先輩とは何も……迷惑をかけたことがあるくらいで。わたしのせいで謹慎になったんです。聞いていませんか…?」


お願い、聞いていて。
わたしのせいだって言っていて。


「きみのせいなんてことはない。聞かなくてもわかる。あいつの普段からの素行の悪さが招いたことだ」

「…もしかして理由も聞いてあげていないんですか?」


彼の味方はいないんだ。

わたしはそれになりたかったのに。


「話はそれだけかい?なら、話すことはないから行くよ」


待って…待って。行こうとする腕を掴む。


久遠道臣(くどおみちおみ)理事長」


頭を下げる。こんなことしたのは初めてで、やり方があってるかなんてわからない。

だけど、晴臣先輩に何もできないままでいるのは一番つらい。


せめて、とか。これだけでもって。

彼に届かなくていい。わたしは恐がったままだけど、それでも、そのままじゃいけないってこともわかっているから。


好き勝手に恋をしたこと。

何も知らないくせに味方でいると言ったこと。

忠告を聞かずにずっと追いかけたこと。


それを今のままただ終わらせるわけにいかないよ。