よかった。晴臣先輩にも友達はいたんだ。と安心している。
「ヤマさん、また槙野にちょっかいかけてるんですか」
高薮くんが話しかけてくる。
「おー鈴央。おみのライバル」
なぜかそんな間柄で認識されてしまっている。
「受験勉強とか大丈夫なんですか?」
「オレはもう推薦合格してるから。ちなみにおみも」
「…晴臣先輩ってどこの学校受けてるんですか?」
「A高」
思わず固まってしまった。とても名門な進学校だったから。
「それ内申点とか平気なんですか」
「あいつを誰だと思ってんの?学校の理事長の息子だよ。勉強さえできればなんとでもなるよ」
コラム部の文章やテーマにしているものを見てなんとなくは感じてたけど、やっぱり頭良かったんだ。
「ヤマ先輩はどこ受けたんですか」
「オレはD学ー。アタマ張ってやんだー」
近所の、晴臣先輩とも付き合いがあった不良校…。この人らしいなあ。
A高かあ。文系だ。
今から勉強したら行けるかな。
それとも、そんなところまで追いかけていったらうんざりかな。きっとそうだよね。
「…目指すの?」
ヤマ先輩が自分の教室へ帰っていったあとに高薮くんから尋ねてきた。
少し迷ったけど、首を横に振る。
もう一度会いたいけど…あの時、本当に恐かった。