「おみの目の前で一生おみに会えないようにしてやってよ」



……そうなったらどうしよう。

晴臣先輩は喜ぶかな。面倒なやつがいなくなったって。

絶対助けてはくれない。期待はしていない。


あの人より大きな体の男の人が4人、わたしに近づく。あの子は何者?なんで言うことを聞くんだろう。


「おみー。本当にいいのかよ?あとで恨まれたら困るんだけど」


誰かが1人言った。


「べつにおまえらのことは恨まねーよ」


じゃあ誰のことは恨むの?

真っ黒な瞳はやっとこっちを向いた。おれは何度も忠告しただろと言ってるみたい。

そうだね。

こんな目にあってもまだ好きなんて、本当に、愚か。


しりもちをついたままなわたしに覆い被さり、彼らの手が制服のボタンや束ねていた髪を解いていく。

気持ち悪い。嫌だ。好きでもない人に触られたくない。このまま進んでいくなら死んでしまいたい。でも、あの女に、晴臣先輩に、恐れ嘆き喚く姿なんて絶対に見せたくない。だから抵抗はしなかった。


いつの間にか彼を好きなこころがプライドなんて陳腐なものをつくり上げていたらしい。

身体が穢けがされるよりも、見られたくないものがあるみたい。


下着の上から手が触れてくる。
顔が近づき、肌を舐められる。

恐怖と嫌悪と絶望感で、悲鳴をあげそうなくちびるを噛みしめると血の味がした。

晴臣先輩、わたし、本当にこの好きって気持ちのまま死んでもいいかな。