佐伯さんたちに連れてこられた夜の小さなガゼボの公園。同じ学校の人も他校の制服を着た人もいて、その人たちに晴臣先輩は囲まれていた。

いたんだ。

なんか、嫌だな。こんなふうに会いたくなかった。



「おみ、あんたにとってこの女は何?はっきりさせたいんだけど」


彼女がきつい声で言う。

こっちを見ることなく無表情な横顔が「何でもねーよ」と返してくる。


Tシャツを預かったことがあっても自転車でふたり乗りしたことがあっても笑顔を見たことがあっても触れる程度にしろキスをしたことがあっても大切な絵を一緒に見ても好きだと言っても、わたしはこの人の何にでもないらしい。


「でもこの女はあんたのことが好きなんでしょ」

「知らねー。放っとけよ」


いつも、知ってるって言うくせに。


「嫌だ、むかつく。おみのこと見ないでほしい」


そんなこと晴臣先輩に言ってもどうしようもできないでしょう。わたしでさえどうしようもできない感情なのに。



「何言われてもやめれない。やめ方が、わからない」


彼への言葉をかっさる。


「…っ」


渇いた音とともに頰が痛む。


「うちのもんうちの許可もなく見んな。好くな。守れないなら死んで」


何様だよ。…いや、彼女様か。