教室に入ってすぐに佐伯さんと目が合った。すぐに逸らされたけど…わたしを見てた?


「おはよう、陽花里。どうしたのー」

「あ。舞菜、野須くん、おはよう。デート楽しかった?」

「最高だったよね〜」


振替休日に迷路の景品でテーマパークデートをしてきたんだって。楽しかったみたいで良かった。


「鈴央と陽花里ちゃんはいつ行くの?」

「へ…」

「クレープ券当たってたでしょ?いつ一緒に行ってくるの?」


一緒に行く発想がなかったよ。だけどさも当たり前のように言われたから、確かに一緒に当たったなら一緒に行くのがふつうなのかもしれない。


「や、決まってないよ」

「期限もあるだろうし早めに行ったほうが良さそうだね」


期限は1年間有効だったと思う。でも早いほうが行きやすいよね。

そう思っていたら高藪くんが登校してきた。

教室ではちょっと恥ずかしいから、今日の係りの時にしよう。



「…というか、さっきから佐伯さん、すごいこっち見てくる」


舞菜が小声で怪訝そうに訴えてくる。


「気にしない気にしない」

「うん。なんなんだろーねえ」


やっぱりもう、諦めるしかないよね。晴臣先輩にははっきり断られて、結香子に迷惑かけて、佐伯さんに嫌な思いさせるこんな気持ち。