「だからあんたのこと利用したい。オレと付き合ってよ。そうしたらあいつのペース乱れると思う」

「わたしはそんな存在じゃないって…」

「本気でそう思ってんの?聞いてなかった?オレに触んなって言ってきたの。ちゃんとあいつのこと見てやってよ。めんどくせえ謙遜してたらあいつの女も可哀想じゃん」

「…きっぱり振られたんです。学園祭の時。もうこれ以上は、晴臣先輩を苦しめちゃいそうで…」

「…ならいいや。そんなならやっぱりあんた使いものにならねーわ」


何それ。勝手。使ってなんて頼んでないし。付き合わないし。ヤマ先輩の考え、全然わからない。

自転車にまたがり背を向けられる。



「あ」


振り向いた目は、悪意がある。だけど晴臣先輩を見てくれてる人だってことはわかった。


「気をつけろよ、本当に。あいつの彼女、オレらの学年と関わりあるしあんたのことすげー知ってた。調べてんだよ。あんたのこと利用しようとしてんのはオレだけじゃないと思うから」

「…はい」


何がなんだかわからないけど、とりあえず返事をつぶやくと行ってしまった。

佐伯さんがわたしを利用?

何のために。嫌われるならわかるけど…おかしな人。気をつけるって、何を気をつけたらいいのかまで教えてくれたらいいのに、中途半端だ。


晴臣先輩、今日は学校来るかな。