何が目的なんだろう。

疑いの目で見ると、悪意のようなものが含む笑みをこぼされた。


「彼女がいる人を好きってどんな気分?」


意地悪で聞いてるんだ。


「…わたしが好きになった時はいませんでした」

「でもあいつ誰でも抱くよ?自分の母親も。あ、これ知ってた?知らなかった?傷ついた?」


この人も知ってるんだ。でも晴臣先輩が言ったわけじゃないと思う。何がきっかけかはわからないけど、知ってしまう出来事があったんだ。


「傷ついてません。…それは、晴臣先輩のほうだから」

「あいつが?まさか。血の繋がりはないにしても母親に手出すとかありえねえっしょ。でも理由があったとすれば知りたいね。それが弱味だろうから」


ひどいひと。

でも素直なひと。

だから晴臣先輩は一緒にいるのかな。


「弱味って思うなら、勝とうとしなくたっていいじゃないですか」


お願いだからあの人のこと、誰も傷つけないでほしい。一緒にいるなら尚更。


「オレさあ、あいつに殴られたこともあるし、女寝取られたこともあるし、毎日嘘つかれてるし、あいつが周りの人間のことなんて何とも思ってないことも、何か隠して、ひとりで生きてることも知ってるんだよね。そういうのうぜえから、あいつのことコテンパにしたいんだよ」


わたしと同じこと気づいてる。知ってる。

それでも行き着く答えが違う。