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学園祭が終わった休み明け、家を出るとヤマ先輩がいてびっくりしてしまった。
会釈して通り過ぎようとしたら「それはないっしょ」と軽やかな声に呼び止められる。
「2学年もセンパイなんだけどなー」
「や…すみません。まさかわたしを待っているとは思わなくて。どうして家知ってるんですか」
「あいつの彼女が教えてくれたよ」
なんで佐伯さんが。
「気をつけたほうがいいよ。あの子、けっこう槙野ちゃんのこと知ってるから。昨日も自分の友達をとられただの、まだおみのこと諦めてなくて目障りだの、いろいろ愚痴ってた」
結香子のことだ。結香子は大丈夫かな…わたしのせいで悪く言われてたり仲間はずれにされたりしたらどうしよう。やっぱり、あまり関わらないほうがいいのかもしれない。
「そうなんですね」
「乗ってかない?今日風気持ちいーと思う」
そんなことも感じるんだ、この人。なんて失礼かな。
たしかに秋晴れ。畑には霜が降りはじめてる。
ヤマ先輩は自転車を指差す。ママチャリ。
「いいです。歩くの好きなので」
「あいつのは乗るのに?いちいち腹立つー」
晴臣先輩のこと、あいつって呼ぶ。いつも一緒にいるのに。前に教室で揉めていた時、庇っていたはずなのに。