「俺はいつまでも子供じゃない。シイの知ってる俺がすべてでもない。シイ、俺はね、知ってしまったんだよ。どうして俺のような子供が長生きできないか、その理由を! 真第五魔法・磔処檻!」

 対アマルティア戦で見せたそれと同じはずの技なのに、出現した黒い針は大きさ、太さ、量、そのすべてが先の戦闘とは桁違いだった。後ろからアムとイーズのなにやら叫び声がする。

「ここですべてを終わらせてやる!」

「ハッ、やれるもんならやってみろヨ!」

 シンの指先一つで、黒い針はまるで散弾銃の様相でシイめがけて飛んでいく。飛び上がり、よけるシイを追撃するように飛び回っては確実にその身に突き刺さる本数を増やしている。

「痛がるなら今のうちだよ、シイ」

「だぁれガ! 強がるのも大概にしなヨォ!」

 シイががぱっと口を開き、光の弾道をシンめがけて吐き出した。空中を縦横無尽に飛び回る二人から目がそらせない。あの高度では自分の剣技も一太刀あたるかどうか怪しいものだ。しかも標的は動いている。

「ジオルグ!」

「アム、イーズ! 怪我はないか」

「なんともないべ! ジオルグこそ、もうアールの結界の効果は切れてるのになんでそんな平気そうなんだべ?」

「え? お前たちがなにかしてくれているんじゃないのか?」

「ううんっ、そ、そんな余裕なかったよおお、さっき見てたでしょおお?」

 さっきというのはシイに二人で攻撃をしかけたときか。確かに、戦わないはずの精霊があれだけの殺意を持って攻撃をしかけていたのであればそんなにいくつものことをいっぺんに遂行していたとは思えない。

 てっきりアールの魔法がまだ継続しているか、アムかイーズがなにかしているのだと思ったが……。