「ま、全部教えてあげる義理はボクにはないかラ……いま大切なのは、そっちはここから出たイ。ボクはシンにずうっとここに居てほしイ……つまり、ボクと君らは敵ってことだヨ!」

 いうが早いか、シイの口から青いエネルギー体が放出され、四人は四方八方へと飛ばされる。一度崩れ切ったはずの雪は地面が爆散したことで再び大波となって流れ出した。

「アッハハハハハハッ! 良いのかナ、放っておいたらジオルグは死んじゃうかもしれないヨ!」

「たわけたことをっ! イッシキ流『錫ノ目』!」

「おっと、ふははっ、この距離でそんな斬撃飛ばせるノ? 厄介だナ」

 横一文字に切り裂いた斬撃が肥大しながらシイめがけて飛んでいくも寸でのところで爪にはじかれる。体制を立て直し再度技を打ち込むがいくらスピードがあっても物理的な距離がこうも遠いのでは、向こうが見極めて弾くほうが早い。

 なんとかもうすこし、距離を詰めなくては。

「アムは、シイを許せないべーーーーーっ!」

「っ、シン様悲しませて……アールまでええ、もう、もう殺してやるんだからああ!」

 右斜め前方、雪の中から踊りだすように飛び出したアムとイーズがそれぞれ攻撃を飛ばした。

 片一方が足を、もう一つが翼を貫き大穴を開ける。爆風と雪煙が竜巻を起こしてきらきらと反射する。息を飲むほど美しいその光景にまるで時が止まったような錯覚さえ覚えた。

煙が消えるまでそちらを注視するも、確実に攻撃は当たっているのにシイはまるで意に介さないような顔をしていた。