「わかるん、だ……しぬって、こういう……おかしい よ な、体、じゅみょうのとき……こんなに、こわく、なかったのに」
「アール、アールううぅ、いやだよ、いやだよおお、イーズたちをおいてかないでええ」
「まぁた泣いてんの、かよっ なきむし、だな……イーズも、アムも」
アムは今もまだずっと治癒を続けている。それでもアールの腹はふさがらないし、亀裂はどんどん広がっていく。おちてくる破片が大きくなって、割れた隙間から見える星の内側は空っぽなのに、それでもやっぱり笑っているように見えるのだ。
「ふたりとも、おれ、さきに……いくなっ、シン様たち、は、ふたりとも無茶ばっか、だから……お前らついてねーとさ」
「まだ、まだ、まだ助かるべ! アール!」
「も、いーって……シン、さま……おれっ シンさまのこと、だいすきだ……っ!」
「ぅ、く……俺も、だよ、俺もアールのこと大好きだ」
「じおるぐ」
かしゃん、かしゃん、ともはや割れるでなくずれ落ちていくように破片が飛散する。半分以上崩れた頭と、同じようにぼろぼろと崩れてきた手足のあった場所。服のふくらみが少しずつ消えていく。
「ありがとな」
「……こちらこそ。アールのおかげで、楽しかった」
「へへっ……あーあ、まだ……みんなといっしょにい」
ぱしゃん。
砂の崩れるような音を最後に、目の前に残ったのは黒で汚れた少年用の服と靴だけ。さっきまでこぼれおちていたはずの頭部も手足も、霧散するように溶けて消え、ただなにもない空間だった。