「どうして塞がらないんだ!?」

「精霊魔力を混ぜられたのかも、俺の魔法じゃ……っ」

「アムがやるべ! イーズ、アムたちはあっちに! ここにいたら邪魔だべ!」

「う、うんっ! アール! アールしっかりしてええ!」

 別の横穴のほうへ、アールを抱えて駆けていく二人をかばうように前に立つ。さっきまで微動だにしなかった針山から禍々しい気を感じた。普通ではない、なんの感情だ。これは。

「俺のせいで、アールが……っ」

「しっかりしろ! お前のせいじゃないし、まだ終わっていない! 前を向け!」

「っ、ごめん、そうだよな……!」

 再び剣を構える。刹那、今までで一番の爆発とともに天井に大穴が空き、針が爆発と同時に四散した。

 シンがこちらに向かってきたものを消したり弾いたりしているがそうでなくても強風と魔力の圧で体がつぶれそうなほどだった。

「おお、お、おや、お、母親を殺して、ぼぼ、ぼボクまで殺そうっていうノかイ? シン、おかしいな、おかしいね、どう、どうしてそんなふうになってしまったんだろうどdっどどdddどこで、まちがえテ」

「あれ食らってまだ生きてんのかよ……!」

「あれを生きているとは、あまり呼びたくないものだがな……!」

 頭の半分がつぶれ、右腕は文字通りの皮一枚で繋がっている。引きずっている足は両方とも不自然な方向に曲がっていて、ふくらはぎを突き破った骨の先端からぼたぼたと腐肉が汁をたらしている。

 そんな大けがをしているのになぜ、あの男は血を一滴も流していない。